2016年10月25日

【NEWS】MOOSIC LAB 2016 受賞結果発表+審査講評など掲載!



去る10月20日にライブストリーミングサイト・DOMMUNEで音楽と映画の祭典、MOOSIC LAB 2016の受賞結果が発表されました!観客アンケートと映画評論家、ライター、劇場支配人、プロデューサーら審査員19名による審査を合算してコンペティション部門の作品を選考。グランプリには北原和明とSACOYANがコラボし製作費僅か25万円で作り上げた「マグネチック」、準グランプリには撮影当時高校生だった松本花奈がthe peggiesとタッグを組んだ「脱脱脱脱17」が決定した。中年のミュージシャンと盲目の女性の交流を描いた青木克齊の監督作「光と禿」は、観客賞と審査員特別賞に加え、主演を務めたスギム(クリトリック・リス)が最優秀男優賞とベストミュージシャン賞、岸井ゆきのが最優秀女優賞に輝き5冠を達成している。
 尚、12月18日、19日に東京・UPLINKにてMOOSIC LAB 2016受賞作を上映するイベントの開催が決定。10月29日から栃木・宇都宮ヒカリ座、11月5日と6日に沖縄・G-shelter、11月19日から愛知・シネマスコーレ、12月に広島・横川シネマ、新潟の市民映画館シネ・ウインド、2017年1月に兵庫・元町映画館、京都・立誠シネマほか地方での上映も予定しております。


■MOOSIC LAB 2016 受賞結果+審査講評

■グランプリ:北原和明×SACOYAN「マグネチック」

■準グランプリ:松本花奈×the peggies「脱脱脱脱17」

■観客賞:青木克齊×クリトリック・リス「光と禿」

■審査員特別賞:青木克齊×クリトリック・リス「光と禿」
        幸洋子×食品まつり「電気100%」

■ベストミュージシャン賞:クリトリック・リス「光と禿」

■ミュージシャン賞:the peggies「脱脱脱脱17」
          SACOYAN「マグネチック」

■最優秀女優賞:岸井ゆきの「光と禿」

■女優賞:北澤ゆうほ(the peggies)「脱脱脱脱17」
     菅原佳子「夜、逃げる」

■最優秀男優賞:スギム(クリトリック・リス)「光と禿」

■男優賞:大木宏祐「マグネチック」
     鈴木理学「脱脱脱脱17」

■スペシャル・メンション ※特別設置
伊藤祥監督&笹口騒音オーケストラ(「愛のマーチ」)
山田佳奈監督(「夜、逃げる」)


※各作品の選評はこちらの各作品のページにて読めます。→http://spotted.jp/lineup

以下、審査講評の一部も下記に掲載。

■小田祐二(宇都宮ヒカリ座)
初めての経験なので何を書いていいのか分かりませんが、今年は、音楽と人の関係性とはなんだろうかと考えさせられる作品があって面白かったです。『TOKYO INTERNET LOVE』『マグネチック』『電気100%』がそれです。全体にクオリティが高く、このイベント自体の成熟を感じさせられますが、音楽×映画の実現は困難になりつつあるかと思っていたので、この3本のアプローチにはハッとさせられました。

■森直人(映画評論家)
今回は本当に嬉しい悲鳴というか、好きな作品が多くて、選出にめっちゃ悩みました。全9作、何が出てくるか判らないスリルに満ちていて、良い意味で番狂わせも多かったように思います。
僕が特に、深く魅せられたのはずばり3本。この三強は自分の中で甲乙つけがたいので、グランプリ1本、準グランプリ2本という変則的な形を取らせていただきました。若き天才による『脱脱脱脱17』と『愛のマーチ』。松本花奈監督と伊藤祥監督は、表と裏、王道と異端のように真逆のベクトルを持つ才能ですが、共に寺山修司の匂いを感じたり。ただ両方とも成長の余地という意味で課題は残るはずなので、現時点の評価として「準」の位置に置かせてもらいました。

■井上経久(シネ・ウインド)
これまでMOOSIC LABの作品を見たときに、概して「勝負に出る女性監督と迷い悩む男性監督」的な印象があり、僕はそれを、女性の武器と男性の弱点と捉えてきたと思う。しかし今年のムーラボで「マグネチック」「光と禿」などを観て、男性監督に見られる先述の傾向は弱点ではなく男ならではの特徴と見た方が良いのではと思い直した。大切な言葉が伝えられない男。肝心な場面で嘘をついてしまう男。それでも男たちは自らの意志で変わるが、その変化をうながす着火剤となるのが音楽だった。僕自身が肝心な場面に弱いためだろう。自らを省みる意味も込めて、今回は問題ある男が音楽の力で少し変化する映画を主要な賞に選んだ。
それでも、松本花奈監督作品「脱脱脱脱17」が放つ胸をかきむしられる様な思いの強さや技術を見逃すわけにはいかないし、笹口騒音オーケストラの存在感も忘れられない。「夜、逃げる」からはていねいに誠実に作った印象をうけ、こういう映画は新潟のお客様にもやはり大切にお届けしたいと思っている。
あと個人的には、ぱく監督の今後にも期待している。新潟でこの夏演劇に初挑戦したグループがあった。脚本や演出、演技に厳しい意見があった公演だったが、本人たちは演劇に関わった事そのものへの充実感を感じていたように見えたし、それは正しいだろう。「あヴぁんだんドキュ」からも新潟演劇グループの芝居と同じ匂いがした。ぱく監督がこれからどんな映像を観させてくれるのか、大期待はしないけれどもちょっと楽しみです。

■松本CINEMAセレクト
 「映画と音楽のコラボレーションによる実験室」を謳う(謳っていた)「MOOSIC LAB」に、私たち松本CINEMAセレクトが期待しているのは、単に次代を担う新しい才能(監督/映像作家・ミュージシャン・俳優)との「出会い」ではない。その「出会い」はもちろんそれ自体で価値のあるものではあるが、私たちが真に期待しているのは、「映画と音楽の新たな出会い=化学反応」を感じさせてくれる作品との「出会い」である。その意味では、今回の作品は、化学反応の可能性を感じさせてくれる作品はあったものの、驚きの「出会い」はなかった。全体としては、作品の質が違うものが多く、それらを同じ土俵で評価できるのか、という疑問を抱かずにはいられなかった。そろそろ「MOOSIC LAB」は何を目指すのかを再確認する時期が、主催者にも、参加者にも、観客にも、審査員にも、来ているのかもしれない。
 最後に、今回も「MOOSIC LAB」の作品を通して、新しい「女優」たちと出会えたことを喜びたい。別の場所で輝いている彼女たちと再会できることを期待している。

■遠田孝一(プロデューサー)
多彩な作品ぞろいで、とても満足しました。そして、早くも今回のクリエイターたちの次回作を期待します。そのぶん選考に関しては、どの角度から見るか(楽しむか)で全く人それぞれでは?まさしく選考者泣かせ、まぁそこがmoosicの良さなんでしょうね!

■木下茂憲(テレビ西日本)
※各作品コメントのみ掲載

■下北沢映画祭
「MOOSIC LAB」はいつも今までにない映画の地平を明示してくれて、本当に毎度頭が下がる思いです。
さて、そんなカオスで魅力的な作品群を僭越ながら下北沢映画祭スタッフ6名で審査させていただきました。
こればかりはイチファンとして心苦しくもありつつ、やはり非常に楽しい時間でもあります。まず、グランプリに関しては『光と禿』『マグネチック』『夜、逃げる』の3本が候補に上がりました。
その中でも「MOOSIC LAB」という企画の根幹である「音楽」と「映画」の融合という観点から、
『光と禿』『マグネチック』に絞られました。クリトリック・リスのスギムさんという「飛び道具」を至極魅力的なキャラクターに仕上げ、王道なストーリー展開ながらもどこか愛らしい『光と禿』。中々な映画では光を浴びないようなキャラクターたちの物語にSACOYANの音楽がこれでもかとドラマチックに鳴り響く『マグネチック』。両者相譲らず・・・といった様相を呈していたのですが、最終的には『光と禿』をグランプリに、という結論に至りました。ひとつ加えておきたいのが何人かのスタッフは『マグネチック』に強い感動を覚えていた、ということです。刺さる人には恐ろしく刺さる、不思議なエネルギーを持った傑作であること間違いないと思います。
そんな中でもスギムさんへの、映画への愛が溢れる『光と禿』を最終的には満場一致でグランプリにさせていただきました。『夜、逃げる』は達者な役者陣が演じる魅力的なキャラクターたちの群像劇にyonigeが記号的にうまくマッチしてはいたのですが、少し音楽の鳴り方が弱かった印象。抜群の映像センスと画作りで幾度もハッとさせられるシーンがある『TOKYO INTERNET LOVE』は映画の「物語」の部分が少し弱かったかなと思います。
ただ、ここで触れられなかった作品も含め、今回のMOOSIC作品たちも映画の可能性を感じる作品ばかりだったと強く感じます。

■菅原睦子(仙台短篇映画祭)
映画と音楽の関係は難しい。流れる音楽がそのシーンを明るくも暗くもする。思いもよらない方へ誘導すらする。バランスがとても難しいのだと思う。そんな難しい直井さんの試みに果敢に挑戦された皆さんの作品を観て、本当に大変だったろうなと思いました。どれだけ映像や編集を重ねたのかなあと。反面、その音楽とのコラボが少し似通ってきている、ん?ちょっと前に観たような?と言うデジャブに教われることもしばしばありました。アイドルは戦うだけなのか、おじさんは体を張るだけなのか、女性はいつまで自分探しをするのか、今回は全体的に少しおとなしい感じがしました。音楽を結構前面に出しているにもかかわらず、あまり印象が残らなかったのはどうしてだろうか。これはMOOSICLABです。音楽で広がる要素、可能性はまだまだあるように思います。どうしてもその音で、声で、でなければならない、観終わった後、五感にすとーんと何かが落ちる、何かが残る瞬間に出会いたいなあと思います。9作品ありがとうございました。いつかどの作品も大きな音と大きな画面で見てみたいなあと思いました。
音楽音痴な私をまた審査員に加えて頂き、的外れなことを書いてしまっているかとも思いますが、若い監督たちの作品に数多く、いち早く触れる機会を頂き本当にありがとうございます。MOOSICLABからこれからの日本映画を盛り上げてくれる監督が出現しています。とても意義のある試みだと思います。直井さん、どうかそのチャンスの扉を多くの若手監督に開いていてください。監督の皆様、うんと無茶やってください!いつか仙台で全作品ぶっ通してやりたいです。

■大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)
※各作品評のみ掲載

■田辺ユウキ(ライター)
正直なところ、自分自身の感覚に不安を覚えるくらい、今回の9作品・各作家とは乖離していました。審査員に値するのか、不安になるくらいです。これを「実験場」と良い意味で捉えるべきなのか、それとも各作家が自分の世界にだけ向き合って撮っているのか。物語も音楽も、「内」か「外」のどちらに表現が向いているのか。自分のやりたいことが、自分にしか分からないような企画が多かった気がします。「みなさんは実験の成果をどこに、何に求めているのだろう」とふと思いました。それらを含めた印象が、個人的な評価基準の一つになりました。とは言っても、MOOSIC LABの新しいスイッチの音がパチッと鳴ったとも思います。オルタナティブなMOOSIC LABでした。自主実験の性質が濃い印象の中で、王道と言える『光と禿』をグランプリに絞りました。『脱脱脱脱17』もグランプリ候補だったのですが、「物事を諦め切れずに続けているオッサン」という共通する登場人物がいて、しかし『脱脱脱脱17』は、何とかオッサンを“卒業”に収めていこうとするところで、その映画の世界のすべてが終わっちゃったように思えました。一方の『光と禿』のオッサン=クリトリック・リスは、キャラクターとして物語の先をちゃんと感じ取ることができました。それと、9作品の中で『光と禿』と『マグネチック』は、良いところも悪いところも含めて、やろうとしていることがちゃんと伝わってきました。あと、当然ながらファンムービーになっていないもの。テーマとなっている音楽やミュージシャンの前知識が全然なくても、物語として魅力が溢れている。かといって、ウィキペディア映画でもない。どうも今回は、いずれの作品も作家の中で音楽やミュージシャンを消化し切っているように見えました。お小言ばかりですみません。最後に、全作品に関してすごく残念だったのは、役者をきっちり撮り切れているものが少なかったことです。脚本、台詞、仕草などに「おもしろいような雰囲気」で芝居・演出している作品が、目につきました。結果として、それが作品のダブつきに繋がっていると感じました。

■田中誠一(立誠シネマ)
各作品評で、できるだけ本意を書きました。どの作品もエエとこもあるしアカンとこもあるのですが、講評は作品ごとに最も重要と感じた要素を書きました。みんな、自身が描く物語に対して、人物に対して、映画に対して、もっと深く掘る(潜る)ことができるんじゃないか?という疑問が残ります。瞬間で物事を捉え表現するセンスの瞬発力が横溢しているように思いますが、じっと見つめるチカラがもっともっと必要なんじゃないかと思います。まなざしのチカラが。企画は確かに狙いがあるように感じるが、脚本はどうなの?という気分。作り手の皆さんには作品を世に出している時点で敬意を表しています。いろいろと苦言ばかり書き連ねているので、こういうことを言うやつとは関わりたくないぜ!と思われるだろうなぁとは覚悟してます。が、もっとよくなるんじゃないか?こうしてみたらどうかな?という提案として書いたつもりです。作品の発しているものを見落としてこちらが勘違いしていることもあるかもしれませんが、ピンときてもらえるなら嬉しいです。納得できない!どういうこと?など多々あるかもしれません。僕はだいたい京都にいるので、殴り込みでも結構ですので、寄ってください。そうしたら、トコトンお話したいと思います。

■西島大介(DJまほうつかい)
今年のMOOSIC LABは、雑に言うとインターネットとの親和性、そしてアニメーション表現のカジュアル化が特徴的でした。MOOSIC LABにはいくつか鬼門があると思っていて、例えばボカロPはこのコンペには未だ召還されないし、ネットレーベルもしかりと思っていたけれど、まさしくそれを描いた『TOKYO INTERNET LOVE』という作品まで登場。「ネット的な何か」と映画とが程よく交じり合うタイミングが来たのかもしれません。

■黒澤佳朗(沖縄G-Shelter)
今年は去年までのムーラボ枠からはみ出していく作品がたくさんでした!!ムーラボの意義を更新し続ける直井さんの企画力と懐の広さに驚きです!!おかげで大分審査に苦しみました。作品の振り幅に合わせて、評価の枠組みももっと広かったらいいのに!!特別賞枠に入れたい作品多過ぎました‥。実は審査結果をカンニングしながら総評書いているのですが、審査員がまったくまとまり無くて最高ですね‥!!!グランプリ作品は凄い意外でした。今回はグランプリ作品を推す事できなくて、個人的にはもっとグッとくる作品に出会いたかったな、と。

■林未来(元町映画館)
「どんどん実験性が薄まっていて個人的にちょっとツマンナイ」とのたまった気がする昨年ですが、今年のラインナップを朝までかかってイッキ観してようやく、MOOSIC LABじたいが最初とはちがうステージに来ているのだとわかってきました。目に見える無謀な実験が減ったかわりに、目に見えないちいさな、ささやかな実験がそこかしこで行われている。その変化によりラインナップの〈映画として〉のクオリティがぎゅんと上がりました。てんでばらばらな方向を目指していた過渡期を経て、MOOSIC LABで目指されるものが決まってきたというのが今年のいちばんの印象です

■溝口徹(横川シネマ)
「LAB」が「更新」されたー!な衝撃はありませんでしたが、その高揚感のなさが「今」なのかな…と納得してしまいそうになる各作品の纏まりの良さ。結果、完成度と密度の濃さで好感を持った作品が残りました。ただ、もはや映画と音楽は、どの作品も摩擦なく調和してててて。でも、推進力を与える燃料としての音楽の活かし方ばかりで(概ねそれは成功してるけど)、逆に印象が薄い…です。しかし気になるのは、フィクション作品の親描写は超抑圧的で(「脱脱脱脱17」「TOKYO…」)、ドキュメント作品の親描写はめちゃフレンドリー(「あヴぁんだんドキュ」「マグネチック」)なの、なんかあるんでしょうか?あと、濡れたらエモーショナル問題。

■家田祐明(K's cinema)
毎年続くMOOSIC。さらなる若手が登場し、知らないミュージシャンも続々と現れる。このところMOOSICの化学反応が薄れていた感があるので、今年は思い切りぶち壊してくれるMOOSICになってほしいと期待を込めた。毎年続くことによって作品としてはバラエティに富んではいるが、映像と音楽の闘いは薄れていくように思えていた。MOOSICの始まった当初、監督の誰もが、どういう形で作ろうかと手探りだったはずだが、その時のほうが渦となっていたのはなぜなのかと思ってしまう。そして今回、出揃った9本。印象に残ったことから書けば、「光と禿」。まさに来場するお客さんたちの笑顔に表れる満足感。キャリアを積んだ青木監督の力量が作品に表れている。オーソドックスに、丁寧に、哀愁をもって中年男とろう者の彼女のドラマを作っている。最後に放たれた光に感動すら与える。音楽もキチッとドライブライブの熱。そう、上手い。いい話。楽しませる。9本の中で頭抜ける完成度だと思った。でも、無難すぎやしないか。MOOSICで求めるのは予想を超えるものであってほしいとの思いが強く残ってしまう。結果、ぼくはグランプリを「愛のマーチ」を選んだ。決して分かりやすい作品ではないが、笹口騒音オーケストラの音が随所に決まる。ぬるく、切なく、泣けてくる。化学反応でもないけども、終わった後、なぜだか人恋しくなり、人に優しくなれるように友を思った。まさに“愛”。画面に拡がる極彩色。そして闇の吸血鬼。不条理な愛のトライアングルは良い騒音となるMOOSICだ。そして「マグネチック」を推した。頭の中をカセットテープが回りだす。SACOYANドキュメントではアナログVUメーターが振れ、ドラマの中ではデジタルレベルメーターが振れるような不思議な作品だった。どこか変な役者たち。感情を持つその顔たちは、前へ前へ押し出されることもなく、物体として佇むようにいる。アナログなカセットテープが回転しながら、規則正しいメーターが振れていく。SN比が悪いカセットテープの音楽が心地よく感じられるようにこの映画には不思議な磁力により、ぬくもりとなって変化する新たなMOOSICを体験した。観客賞は取れないだろうけど、審査員の心は揺さぶられたに違いない。他作品含めた9作品を楽しんだ今回、新たな可能性は秘めつつも、MOOSIC的な要素は、撮る側も意識しなくなってきたように感じる。それはこれから、MOOSICが、より自由になるのか?上手くまとまってしまうのか?これからも注目していこうと思います。

■九龍ジョー(ライター)
完全にタームが変わったと思った今年のMOOSIC LAB。
どの作品にも何がしかの〈新しさ〉があって楽しんだ。ただ、その〈新しさ〉を鋭利な武器にまで磨いて仕留めてくれる作品は見当たらなかったのが残念。
ただ本当に一作品残らず、面白かった。
傾向がはっきりしていたと思う。ドラマに音楽を絡ませる方向と、形而上的な位相で音楽を鳴らそうとする方向。ほとんどの作品が、例年以上にそのどちらかにわかりやすく振れていた。そのぶん、よくあるテンプレートやアバンギャルド(かつその劣化版)になってしまう危険性も拭えず。結局のところ、このバジェットの作品でその罠を突破するのに必要なのは、技術ではなく(全般的に高かったですが)、監督やミュージシャンのエゴなのだろうと改めて確認した。
そういう意味で評価したかったのは『夜、逃げる』だが、音楽が劇伴でしかなかったため、MOOSIC LABという括りで推すのが難しかった……。
『愛のマーチ』や『TOKYO INTERNET LOVE』あたりにもうちょっとパンチがあれば、気持ちよく推せるのに! と悶えた。
『電気100%』みたいなワンアイデア勝負な作品、好きです。
『マグネチック』は愛おしい。SACOYAN出演シーンに漲るテンションにもやられた。
『神宿スワン』の弾け方も好き。
『光と禿』『脱脱脱脱17』は物語運びがソツなさすぎて……っていうのは結局そのこと自体がソツで、でもちゃんと音楽が中心で鳴っているのがよかった。
『脱脱脱脱17』の「青さ」を採って準グランプリにしましたが、あくまで便宜上であり、上記作品のどれが準グランプリになってもいいと考える。
『あヴぁんだんドキュ』は、技術がないこと自体を武器にしていて面白かった。であればこそ、もっと「青く」て、もっと破綻しててもよかったのでは。
posted by staff at 08:41| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする