2015年09月30日

MOOSIC LAB 2015 全体総評まとめ by 審査員一同

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MOOSIC LAB 主宰の直井です。お待たせしました!MOOSIC LAB 2015コンペティション、審査員の各賞推薦の詳細及び、総評をまとめました!今年から全8作品それぞれへのコメントも頂いてます!それはこちら→LINE UPの各作品のページの下の方に掲載しましたので是非ご覧ください。それにしても例年にも増して審査員のご意見、視点バラバラでめちゃんこディープです。真剣に観てくださった審査員の皆さんに心より感謝申し上げます。それでははりきってどうぞ!(MOOSIC LAB主宰・直井卓俊)

■森直人/映画評論家
◉グランプリ=101回目のベッド・イン ◉準グランプリ=ライブハウス レクイエム ◉特別賞=劇場版 しろぜめっ!、劇場版 復讐のドミノマスク ◉ベストミュージシャン賞=スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)◉ミュージシャン賞=マチーデフ&サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)、Vampillia(いいにおいのする映画)◉最優秀女優賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉女優賞=森下由美(ライブハウス レクイエム)、望月みゆ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉最優秀男優賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=福田洋(『劇場版 復讐のドミノマスク』)、ターボ向後(『DREAM MACHINE』)
今年のMOOSICの主題は「イベント性」かな……と、濃いキャラだらけのKICK OFF PARTYの時から何となく思っていました。そして全8本鑑賞後、ふ〜っと深呼吸を一回してから、決めました。やはりトップは『101回目のベッド・イン』だなと。まあ、抵抗がなくはないんです。サーモン鮭山監督&当方ボーカルさんだから巧くて当然というか、本職のプログラムピクチャー感がハンパないので(笑)。ただベッド・イン自体のキャラクターや世界観、さらに楽曲が作劇のエンジンになっているのは大きい。しかも「等身大」担当=破れタイツとの対比構造&二焦点により、ベッド・インがティンカーベル的な「バブルの妖精」みたいに見えてくるという。「巧い」という意味では『ライブハウス レクイエム』も然り。ただ、松本卓也×マチーデフ兄弟の実力を考えると「惜しい」印象の方が上回ります。もっと本領発揮していたら、コレを第一席にしたかったんだけどな〜。コンセプトはすごくいいと思う。多ジャンルの音楽を陳列できる場所設定、何より「ハコ」や「コヤ」文化としての音楽というのが映画(館)のアナロジーにも見えるところがグッときます。ところがドラマ進行があまりに「泣き」に引きずられて、タメが長すぎるのではないか。そのせいで、リーサル・ウェポンであるはずの主演女優サイボーグかおりさんの見せ場が極端に少なくなってしまっている。もっと高密度な祝祭空間で、『glee/グリー』や『ピッチ・パーフェクト』的なノリの続編を作って欲しい!さて、残り6本は僕の中でほぼ同列。「巧さ」という意味では『ねもしすたぁ』が浮上するのですが、むしろソツのない達者さが熱量の伝達を遮っているような気がしました。逆に作劇レベルは拙いながらも、映像や世界観のこだわり、アーティストとのガチなコラボなど、必死の熱量を感じさせたのが『いいにおいのする映画』。劇中、登場人物の台詞を借りて「表現論」的なことが直截に語られているので、今後の課題は監督自身がよく自覚されているんじゃないかと思います。『マイカット』は「惜しい」度では一番。精神分析・心理学的なアプローチは個人的にも大好きなんですが、どこか監督の頭の中にある設計図やルールをアウトプットし切れていない。『脳内ポイズンベリー』や『インサイド・ヘッド』ほど判り易くしなくてもいいですが、もっと「伝える」ことを念頭にブラッシュアップすれば化けるかもしれません。『DREAM MACHIINE』は(そのタイトル通り)デレク・ジャーマン風の耽美的な映像詩の中に、『監督失格』ばりの生々しいセルフ・ドキュメンタリーが入り込んでくる構成ですが、この両者の接着度がもっと高ければワンレベル変わったように思います。以上、4作品もそれぞれ面白く観たのですが、僅差ながら“劇場版”と銘打たれたネット動画ベースの2本を審査員特別賞に推すことにしました。


■田辺ユウキ
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=ねもしすたぁ ◉特別賞=マイカット ◉ベストミュージシャン賞=サクライケンタ(マイカット)◉ミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)、禁断の多数決&BRATS(DREAM MACHINE)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)、根本宗子(ねもしすたぁ)◉最優秀男優賞=ミッチー(いいにおいのする映画)◉男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)、福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)
2015年公開の商業映画の中で、個人的に映画×音楽=MOOSICを思わせたのが、山下敦弘監督と赤犬の『味園ユニバース』でした。また、漫画では渋谷直角著『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』に、「MOOSIC」な漂いを感じました。どちらも、作り手、登場人物(役者)、音楽が「バトル/親和/個々の強調」を繰り広げていて、音楽×映画の「ひとつの理想」として僕は興味深く鑑賞しました。それに近い琴線の触れ方をしたのが、酒井麻衣監督の『いいにおいのする映画』でした。過去の『棒つきキャンディー』『金の鍵』は上手に撮れていると思いますが、酒井監督自身も話していたように、確かにどこかイイ子ちゃんに収まっている気がしていました。それが、Vampilliaと組んで、そしてバトルをして(何でも「グランプリを獲ったら、製作に関してお互いに言いたかった本音を言い合う。獲れずにそれを言っちゃったら、ただの言い訳なっちゃうから」だそうです)、映画を作り上げていった。MOOSIC LABは、音楽家では大森靖子さん、監督では山戸結希さん、加藤綾佳さんを代表格として、映像と音楽とのコラボを機に、「自分以上の自分」を引き出していました。分かりやすい言葉を使えば「一皮むける」という場。これまでとは違う世界を見る。『いいにおいのする映画』は、酒井監督にとって未来が拓けた映画ではないでしょうか。過去作品を知っているかどうかではなく、「音楽」というテーマについて、映画/映像作家が、作り手なりの捉え方で、サウンド面だけではない、「音楽」を形づくる様々な側面・要素をちゃんと表現している。8作品中でもっとも有機的で、意思を強く感じました。ただ全体的に例年よりも映画としての質が薄まっている危険さがありました。『いいにおいのする映画』は突出していて、悩むことなくグランプリに推しました。CO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)をやっていても痛感するのですが、作り手がいま考えていることの、さらに一歩先を進んだものがみたい。『DREAM MACHINE』はその点、かなりヒリヒリしました。だけど全体的には、どれも面白いけど驚きの部分では僕は物足りなさがありました。


■林未来(元町映画館)
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=該当なし ◉特別賞=劇場版 しろぜめっ! ◉ベストミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)◉細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)、該当なし ◉最優秀女優賞金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=まお(せのしすたぁ)、廣田朋菜(マイカット)◉最優秀男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)◉男優賞=マチーデフ(ライブハウス レクイエム)、東保光(劇場版 しろぜめっ!)
自分の感じる面白い/面白くない(≒好き/嫌い)は選考に大いに影響しますが、その前にどんな「新しいモノ」が観られるのか、というのが私のMOOSIC LABに挑む基本姿勢であります。その観点から言うと、やはり昨年につづき実験性や挑戦が足りないなーというのが本音。ミュージシャンを劇中の人物としてどうキャラ付けするか、そちらにどんどん力が注がれているような気がしてなりません。映画に音楽という翼を与えて自由に羽ばたかせるというのは意外に難しく、映画という枠は想像以上に強固なようです。それにしても、2013年『おとぎ話みたい』の山戸結希監督、2014年『おんなのこきらい』の加藤綾佳監督、そして本年度の『いいにおいのする映画』の酒井麻衣監督と、女性が強い!このあたり男性に聞いてみたいものです。

■大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)
グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=101回目のベッド・イン ◉特別賞=劇場版 復讐のドミノマスク、マイカット、DREAM MACHINE、ねもしすたぁ ◉ベストミュージシャン賞=ねもしすたぁ(ねもしすたぁ)◉ミュージシャン賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)、Vampillia(いいにおいのする映画)◉最優秀女優賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉女優賞=破れタイツ(101回目のベッド・イン)、金子理江(いいにおいのする映画)◉最優秀男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)◉男優賞=室谷心太郎(『劇場版 復讐のドミノマスク』)、micci the mistake(いいにおいのする映画)
こういうの総評って「昨年のMOOSIC LABはなんたらかんだんで」と前回のことを引き合いに出しながら語るべきかもしれませんが今年はなんかそれ憚られますね。というのもかなり作品数を絞ったせいか良作が多く、仕切り直し感、リブート感があるからです。全体的に作品としての一定の強度がるものが多かった気がします。だから特別賞4作品って別に選ぶの手を抜いたわけではないですよ!快作および怪作が多かっただけです!映画的にはサブカル自我の超拡張というよりは、そこからは一歩引いたファンタジー、リアリティラインからはかけ離れた作品が多いように思われます。あと、今回はミュージシャン側の存在感があまりに巨大で、下手すればその引力に引きずり込まれかねない作品が多々ありましたね。それこそ、Vampilliaやベッド・インなんて巨大怪獣レベルですが、作品として良い塩梅のところに落とし込まれていて、「なんだこれ天才かよ」と思わずため息をつく事が多々ありました。これこそMOOSIC的精神の賜物


■飯塚冬酒(横濱HAPPY MUSIC!映画祭)
◉グランプリ=劇場版 しろぜめっ! ◉準グランプリ=マイカット ◉特別賞=劇場版 復讐のドミノマスク ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)、スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)◉最優秀女優賞=吐山ゆん(101回目のベッド・イン)◉女優賞=西本真希子(101回目のベッド・イン)、和田光沙(101回目のベッド・イン)◉最優秀男優賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=室谷心太郎(劇場版 復讐のドミノマスク)、バクザン(ライブハウス レクイエム)
音楽×映画のカオス感がとても魅力だったMOOSIC LABですが、昨年は「映画」として完成された作品が多く、「MOOSICらしさ」が薄まりちょっと寂しかったのですが・・・本年は【良作揃い!!!!】(というか一般には悪作か??)これぞ、MOOSICという作品が多く、本当に楽しまさせていただきました。セオリーを無視しても、「映画」として成り立っていなくても、とにかく何かを表現したいという熱気あふれる作品が集まりました。例年通り、全プログラムを劇場で観覧し、終映後の監督とお客さまとの会話の盗み聞き、監督・キャストさんの立居振舞いの観察、スパイみたいな審査をさせていただきました(笑)今回、とても興味を持ったのは、吐山ゆんさん、細身のシャイボーイさん、バクザンさん。とにかく気になります。


■下北沢映画祭運営委員会一同
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=ライブハウス レクイエム ◉特別賞=復讐のドミノマスク、DREAM MACHINE ◉ベストミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)◉ミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)、スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)◉最優秀女優賞=望月みゆ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉女優賞=破れタイツ(101回目のベッド・イン)、ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉最優秀男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)◉男優賞=福田洋(『劇場版 復讐のドミノマスク』)、micci the mistake(いいにおいのする映画)
今回初めてMOOSIC LABの審査に参加させていただいた下北沢映画祭です。審査員は初!ですが、MOOSIC作品は過去何作も拝見してきていて、今回のMOOSIC LAB 2015は8作と作品数を絞った効果で、作品ごとのクオリティがぐっとあがったように思います。そんな中でも作品としての圧倒的なクオリティと音と光の魔法がかかった『いいにおいのする映画』は満場一致でグランプリ。そしてライブハウスの空気感と監督のキャストへの愛がつまった『ライブハウス レクイエム』を準グランプリ、そして「プロレス」という他カルチャーを魅力的に融合した『劇場版 ドミノマスクの復讐』と「夢映画」という大チャレンジにリアルパートを加えることで作品の強度を増すことに成功した『DREAM MACHINE』を審査員特別賞とさせていただきました。ミュージシャン賞はライブが観てみたい!と思わせるアーティスト陣が自然と選出され、その中でも作品との融合を見事に果たし、強烈な「いいにおい」を感じさせたVampilliaさんがベストミュージシャン賞で!男優賞はプロレスラーながら鮮烈な美声を披露した福田洋さんとストーリーテラーで作中でも重要な役割を強烈キャラで演じたミッチーさんも素晴らしかったのですが、そんな異種格闘技戦の中、スクリーン映えする不思議な魅力と色気で役者としてのエネルギーをスクリーンに充満させた吉村界人さんが最も主演男優賞に相応しいと考えました。女優賞、各作品魅力的な女性キャストが集っていたためこちらが一番選考に悩みました。その中でも圧倒的ヒロイン感で男だらけの作品にまさに「華」を添えていた望月みゆさんを最優秀女優賞に、『101回目のベッド・イン』にてハジけまくっていたベッド・インさん、そしてその二人の濃すぎるキャラに負けず絶妙なコンビで魅せてくれた破れタイツさんを女優賞にさせていただきました!今回のMOOSIC LABは冒頭の通り過去に比べても濃くてクオリティの多い作品が多かったです。その中でも映画×音楽の融合に加えてさらに大きなチャレンジや他カルチャーとの融合を果たそうとしている作品群を選出させていただきました。審査員として、良い意味で悩みぶかく作品を選定させていただいた次第です。このような機会を与えていただいたSPOTTED PRODUCTIONSさん、そして魅力的な作品を作り上げてくださった各作品のスタッフ・ミュージシャン・キャストの皆様に敬意と感謝を込めまして、下北沢映画祭スタッフ一同審査総評の結びの言葉とさせていただきます。貴重な機会と素晴らしい作品、本当にありがとうございました!"

■黒澤佳朗(G-Shelter)
◉グランプリ=ねもしすたぁ ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=劇場版 復讐のドミノマスク、DREAM MACHINE ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)、せのしすたぁ(ねもしすたぁ)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)、根本宗子(ねもしすたぁ)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=マチーデフ(ライブハウス レクイエム)、micci the mistake(いいにおいのする映画)
Moosic Labも成熟し、今年はもはや自主制作の映画コンペの枠で収まる作品はなかったように思います。作家の皆さんのMoosicLabコンセプト理解度が高く、バラエティ豊かな作品も集まり楽しめました。しかし圧倒的な作品もなく、そこは残念。私の評価に関しては、@制作意図が伝わるもの、納得できるもの。A作品クオリティ。B単純な好み。の順に評価しました。アイドルは何年も前にデッドしたはずなのに、ムーラボでどんどん増えてくアイドル起用。そんな中男性アーティストからレスラーまで、個性強い男が台頭してきたのは嬉しかったです。制作に関わったみなさま、本当お疲れ様でした!!!皆さんの作品、責任もって沖縄でお届けさせて頂きます!!!


■西島大介(漫画家)
◉グランプリ=ねもしすたぁ ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=101回目のベッド・イン ◉ベストミュージシャン賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉ミュージシャン賞=せのしすたぁ(ねもしすたぁ)、Maison book girl(マイカット)◉最優秀女優賞=まお(ねもしすたぁ)◉女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)、サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)◉最優秀男優賞=micci the mistake(Vampillia)◉男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)、真部脩一(いいにおいのする映画)
総評としては、クラウドファンディングの弊害と、それを超えるタフな演出家や 出演者の強さが印象的なコンペでした。クラウドファンディングはそこそこの予算が集まり映画制作の手助けになるもの の、観客=パトロンになってしまい裏切ることができず、結果映画が小さくまとまりがち。『劇場版 復讐のドミノマスク』『マイカット』などはそれが顕著で、近いお客さんは見えているけど、もっとずっと遠くの観客を設定できない故の閉塞感が 生じていると感じました。(僕が関わった『世界の終わりのいずこねこ』もクラウドファンディングでしたが、「ファンを物語で裏切ること」は試みたつもりです) 一方でのびのびとやりたい放題やっていて爽快なのが、『ねもしすたぁ』『101 回目のベッド・イン』。ともに作り手のタフさを強く感じました。気を使うどころ か、あの手この手、力技、反則込みで観客を巻き込み盛り上げたあげく、「知ったことか」と後腐れなく立ち去って行く感じ。演劇やテレビドラマに隣接し、恐らく シネフィルには純粋な映画とは思われにくい二作品が、僕には最も力強く魅力的に 映りました。 その反動で「映画の品格」を例外的に感じさせていたのが『いいにおいのする映画』。ベッドインとせのしすたぁが破天荒すぎたので、この映画の丁寧さ、王道さが際立ちました。これもクラウドファンディング映画ですが、パトロンよりもずっと遠くを見ている印象があります。実は音楽に寄り添いすぎてない作品。『劇場版 しろぜめっ!』『DREAM MACHINE』は、インディ映画らしい「だめ な僕」目線のハメ撮り作法の自己さらけ出し映画。でも、例えば『BiSキャノン ボール』があれだけのポップさを獲得した以降では、「自分」×「音楽」だけでは どうしても「足りない」と感じてしまいました。「自分」×「音楽」×「何かもう一 つ」あるといいのかもしれません。率直に言えば今年は「まともな映画がない」という印象です(必ずしも映画がま ともである必要はないんですけど)。この状況を逆手に取って、例えば「クラウド ファンディングや助成金で集めた札束を燃やすだけの映画なのに泣ける傑作」みたいな作品がいっそ来年登場したらいいのに、なんて考えたりもしました。ともかくみなさま、素敵な映画をありがとうございました。


■松村厚(第七藝術劇場)
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=該当なし ◉特別賞=DREAM MACHINE ◉ベストミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)◉ミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)、バグザン(ライブハウス レクイエム)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=森下由美(ライブハウス レクイエム)、該当なし ◉最優秀男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)◉男優賞=ターボ向後(DREAM MACHINE)、該当なし
昨年初めて審査員をさせていただいて音楽×映画のコラボの視点からの選出という事の戸惑いをコメントいたしました。今年はそんな迷いは吹っ切って作品として面白いかどうかで選出させていただきました。全体から言うと昨年の選考作品の方がバラエティに富んで面白い作品が多かったような気がします。その中で「いいにおいのする映画」はミスiD2015グランプリの金子理江さん、新進気鋭の吉村界人くんはとてもドラマにマッチングしていて芝居がうまい下手とかは関係なく昨年の森川葵のように存在感を感じました。モノクロ映像とパートカラーの描き分けのセンスの良さ(パートカラーの音楽シーンは素敵でした)、Vampilliaのメンバーのお芝居も音楽もうまく映画に溶け込み、彼らの音楽も良さも魅力的に伝わって来て私の中では断トツのベストです。昨年の「おんなのこきらい」のように単独での公開の可能性も感じました。よって準グランプリは対象なしにします。審査員特別賞の「DREAM MACHINE」は作品の良し悪しよりも映画途中のターボ向後監督のリアルドキュメント部分の昔愛し合って暮らしていた彼女がふっと彼の目の前から消えて消息不明になっているのですがその後の彼女の消息を尋ねると…。慟哭の現実が…。ターボ向後監督の慟哭は、劇映画ではなかなか表現出来ないリアル。ターボ向後監督の「くそ、くそ、くそ」という叫びが今も耳を離れません。今年の大阪での上映は勝ち抜きバトルです。どの作品が生き残るのか楽しみです。


■溝口徹(横川シネマ!!)
◉グランプリ=ライブハウス レクイエム ◉準グランプリ=劇場版 復讐のドミノマスク ◉特別賞=ねもしすたぁ ◉ベストミュージシャン賞=『ライブハウス レクイエム』出演の全ミュージシャン ◉ミュージシャン賞=サクライケンタ(Maison book girl)◉細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉最優秀女優賞=森下由美(ライブハウス レクイエム)◉女優賞=サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)、まお(ねもしすたぁ)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=イグロヒデアキ(ライブハウス レクイエム)、東保光(劇場版 しろぜめっ!)
コンペ作品が8作品と例年より絞られたためか、毎年1本はあった「これ、作らなきゃいいのに…」という作品は見当たらず。また、「これを選んでるオレ、カッコよくね?」と審査の自意識が付け込める完成度に隙のある作品も見当たらず。そんな感じで審査は消極的に難航しました。結果的に、新潟、石川、福井、地方ロケ万歳!という感じに。「マイカット」「いいにおいのする映画」の選外はエールだと思ってもらえたら嬉しいです。

■菅原睦子(仙台短篇映画祭)
◉グランプリ=劇場版 しろぜめっ! ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=マイカット ◉ベストミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)◉ミュージシャン賞=Maison book girl(マイカット)、該当なし ◉最優秀女優賞『マイカット』ミエコノ中の4人の人格の皆さん(廣田朋菜/秋澤弥里/小根山悠里香/シグレ)◉女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)、該当なし ◉最優秀男優賞=スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)◉男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)、吉村界人(いいにおいのする映画)
全体総評というか,新しい作品をありがとうという気持ちです。仙台短篇映画祭の準備という中での作品評となりました。忙しさをタテに取ってということはこれっぽちもありませんが、私自身いつも怖さとの戦いで作品に挑みます。今回もそこは変わらず、どの作品に対しても同じスタンスで同じ精神状況で挑めたのか。そしていつもすぐに感想のでない(3日くらいかかるふがいなさ)相変わらずの効率の悪い頭にいらだつことなく、どうか悪い方に転ぶことのないようにと言い聞かせての作品鑑賞となりました。3回目の今回も、また若い新しい作家の方々が、音楽というものを強く意識しながら、そこに自分を如何に表現するかという、戦う8作品を観させて頂きました。MOOSICLABにおいて監督には本当にやりたいことを余すことなくぶつけてほしいと思います。ここでやり残したことがない、あるいは新たな自分の表現を試み、次の映画にとつなげてほしいと思うのです。そういった自由なことが許されるのがMOOSICLABの良さだといつも思うのです。音楽という約束と、制限の中ではありますが、いっぱい無茶をやってください。直井さんはそういった監督たちをしっかり観て受け止める器の大きな人です。思い切ってぶつかってこのチャンスを自分のものにして欲しいなあと思うのです。


■田中誠一(立誠シネマ)
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=101回目のベッド・イン ◉特別賞=ねもしすたぁ ◉ベストミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)◉ミュージシャン賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)、細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉最優秀女優賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉女優賞=まお(せのしすたぁ)、サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=micci the mistake(いいにおいのする映画)、スガダイロー(劇場版 しろぜめっ!)
これは映画であるということを前提に、その中で音楽が絡んで奇跡的な瞬間を立ち上がらせる。それがあったかどうかを念頭に置いて、ずっと観ていました。そんな中、自分の中に浮かんできたのが、「物語」に対する手落ち、です。なんとなくの辻褄合わせにどうしても見えてしまうことが多く、自分でも嫌になるくらい「何故?」という瞬間が各作品を観ている間たびたび生じました。いや、MOOSICの審査なのだから物語ではなく映画と音楽の相乗効果を…云々、ということが頭をよぎりましたが、今回は最終的にも、この観点が頭を離れませんでした。物語は音楽にだってあります。むしろ音楽は物語を拠り所としないからこそ、物語が生まれる時に感動をもたらすのではないか、と今回思い直したところがあります。では映画はどうか。物語を「必要悪」として考えてしまっていないか。とりあえず、始まって、終わるまでの流れをつくるもの、ではないはずです。物語は奇跡を召喚するために作り手が演じ手が周到に準備する儀式なのではないか。そう考えた時に、その作品に登場する素材(俳優、ミュージシャンなど)を、それ以上のものにすべく作り手が創出しようとあがいているように感じられることが殆どなかった。つまり、勝負しているように見えなかった。多くの作品に、映画としての音の重要性を意識したものがなかったということも残念でした。MOOSIC的なシチューエーションのところだけでなく、個々のシーン、ショットのなかでどういう「音」が鳴るべきか。鳴っているのか。それを重ねることで、映画そのものが音楽足りえるということだってあります。ミュージシャンが登場するからといって、クライマックスにライブシーンがあるからといってMOOSICになるわけではないはずです。先ほどの「物語」に還ります。いくつかの作品で、どこかで見たような、同じような構造、展開を見てしまうのは、やはり「物語」に対する意識の希薄さに通じるのではないかと思います。フィクション、ドキュメンタリー、コンテンポラリーでも何でも。先ほども書いたように、物語とは、映画の作り手が奇跡を召喚するために周到に準備する儀式、です。観客もその奇跡を同じ地平で体験できるように組み立てる土台です。そう改めて感じた今回の審査でした。準グランプリに『101回目のベッド・イン』を挙げたのは、俳優=アーティストの魅力を物語にすべて集約させて表現しようとしていたためです。ただそれはアーティストの魅力に奉仕はすれども、果たして「映画」と「音楽」の掛け算なのか。濃いキャラクターが売りのアーティストに対して、その強いキャラクターを揺るがす作り手からの仕掛けが足りないと思ったことも確かです。『劇場版 復讐のドミノマスク』も僅差でしたが、クライマックス等で「物語」に対しての甘さを露呈したと感じた次第です。ミュージシャン賞、女優賞、男優賞は、その個々の素材のよさ=魅力、で挙げているところがあります。なので自分なりのMOOSIC的には消化不良な印象です。『ねもしすたぁ』は好きなんですが、評価としてはうまくまとまっているという以上のものが見えないのが残念でした。はっきり言ってしまうと、私が今回、評価できる(勝負しようとしている)と感じたのは『いいにおいのする映画』だけです。この作品はどこに向かおうとするのか、誰とそこに行こうとするのか、それにはどういう方法を用いるのか、ということを明確に観ているこちらに伝えてきていたと思います。作り手、演じ手、ミュージシャン(演じ手でもある)がそれを見据えられていると思いました。あのVanpillia相手にそういうコンタクトを振ることができた酒井さんは大したものだと思います。自信がないと出来ないでしょう。ただ、そうしたビジョンの共有がこの作品最大の演出であり、個々の細部での演出は力不足を感じたことも確かです。仕掛け(ここでは魔法というべきか)の部分は充分に伝わる表現(装置)になっていましたが、俳優の身体への眼差しが今ひとつと感じたのです。同時に、「音」で物語るということに関しても他より抜けているわけではない。しかしこの作品は次を観たいと思わせるものでした。野心高く、より鋭く深い次作、期待しています。


■シネマスコーレSTAFF一同
◉グランプリ=ライブハウス レクイエム ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=劇場版 復讐のドミノマスク ◉ベストミュージシャン賞=マチーデフ&サイボーグかおり(ライフバウス レクイエム)◉ミュージシャン賞=バクザン(ライブハウス レクイエム)、細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉最優秀女優賞=森下由美(ライブハウス レクイエム)◉女優賞=サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)、金子理江(いいにおいのする映画)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)、後藤さん(ライブハウス レクイエム)
名古屋はシネマスコーレ支配人の木全さん、副支配人の坪井さん、スタッフのなっちゃん、そして自称名古屋一のムーラボファンの私、榊原で審査しました。支配人、坪井さんの映画人チームと私たち女性チー厶で意見がぱっくりと割れてしまって、混迷を極めた審査会議。映画としての見ごたえや将来性、音楽との関わり、話題性などなど加味するところは多く、どこに目を向けるかで全く景色が変わってしまうMOOSIC LAB。アイドル、ドキュメンタリー、アニメ的なノリの軽さ、昭和への憧れ…。近年の多種多様な要素がどっと作品へ流れ込んできているような、<今>を感じられるラインナップでした。

■コムアイ(水曜日のカンパネラ)
◉グランプリ=劇場版 復讐のドミノマスク ◉準グランプリ=101回目のベッド・イン ◉特別賞=101回目のベッド・イン、DREAM MACHINE、いいにおいのする映画 ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=禁断の多数決(DREAM MACHINE)、サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=まお(せのしすたぁ)、望月みゆ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)、細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)
この企画は短い作品が向いているような気がしていて、映画館で上映にかかる際も配信される際も、その方が有利だと感じています。前回まではわかりませんが、今回短い作品が多かったのがよかったと思います。スカッとしたのが、ドミノマスクで、「キスは」「ないです!」のような、会話劇の面白さ、それに準じてカット割りのテンポの良さが、細身のシャイボーイのライブや福田さんのアクションが入って来てもすんなりと巻き込める理由になっていたと思います。この軽い形式も面白くて、映画館で観なくてもいいよなって気がしたので、1話だけ無料配信して、それ以降を課金にするとかで、話題を呼んでほしいです。キャスト全員が愛らしく見えて来る良い演出でした。クオリティが安定しているのは「いいにおい〜」で、キャスティングが素晴らしかったですが、グッとくる主題ではなかったのでところどころで冷めてしまったのと、見たこと無いものを見せられるドキドキはありませんでした。他もそれぞれに全然違う映画の形を見せられたので、良い意味でどっぷりと頭が疲れました。ありがとうございました。審査員の意見など気にせず、どんどん自由になって、政治や、戦争や、障害者や、エロや、原子力、葬式、実在する人物、実在する物など、映画で取り扱いづらい要素が脚本にでてきそうになっても、なんにも気にせず登場させ、使い捨て、強いエネルギ―でブルドーザーのように押し倒してしまう作品が、必要とされ、歓迎されていると思います。先輩映画監督に気を遣わない、あっけらかんとした無敵映画を観たいです。気づけば、それができるのは音楽家と芸術家と主婦と映画監督だけだからです!


■松本CINEMAセレクトSTAFF一同
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=劇場版 復讐のドミノマスク ◉特別賞=ねもしすたぁ ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉Vampillia(いいにおいのする映画)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=まお(せのしすたぁ)、サイボーグかおり(ライブハウス レクイエム)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)、Vampilliaの皆さん(いいにおいのする映画)
「MOOSIC LAB 2014」で結果的に全国の審査員のなかでもっとも厳しい評価をすることになってしまったわたしたち松本CINEMAセレクトだが、そのことはわたしたちにとってもショックな出来事だった。わたしたちは、「映画と音楽のコラボレーションによる実験室」として「MOOSIC LAB」をとらえ、「MOOSIC LAB」らしさという点から評価を行ったのだが、それが「原理主義」的な硬直した見方にはなっていなかったか、との反省から、今年はあらたに若いスタッフを1名加え、4名(男女2名ずつ)で審査を行った。昨年ほどではないものの、映画と音楽がガチで勝負したり、「映画×音楽」という縛りのなかで真面目に遊んでいる、と強く思わせてくれる作品はあまりなかったが、良い意味で「MOOSIC LAB」らしい作品(『いいにおいのする映画』)と良い意味で「MOOSIC LAB」らしくない(「MOOSIC LAB」をはみ出た)作品(『劇場版 復讐のドミノマスク』)に出会えたのは、わたしたちにとって喜びだった。


■井上経久(新潟シネ・ウインド)
◉グランプリ=ねもしすたぁ ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=マイカット、劇場版 復讐のドミノマスク ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)、Vampillia(いいにおいのする映画)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)、せのしすたぁ(ねもしすたぁ)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=マチーデフ(ライブハウス レクイエム)、micci the mistake(いいにおいのする映画)
今回は娯楽性に富む作品が多く、そしてこれまでには無いタイプの実験的な映画もあった。何というのか、過去には「何だかボンヤリした作品」もあったと思うけれども、今年は「こういうのを世に出す」という作る側の意志が明確な映画がそろったと思う。もちろん明確な意思が作品の成果に結実しているとは限らないが、MOOSIC LABという場で、それぞれが備えた技術で勝負に臨んだ8つの映画にまず感謝します。音楽との関係も僕にはそれぞれ興味深かった。音楽が関わる場面でギアが変わる映画たち、というのが全体を通した印象。そのギアチェンジスタイルの違いは個性的で、サードの次はトップか又はセカンドか、はたまたバックに入れてUターンをかますか。腑に落ちたり仰天したりしたが、いずれも楽しませてもらいました。未知の刺激に出会うチャンスとして、毎年のMOOSIC LAB公開は僕にもありがたい時間になっている。そして、それは自分だけの話ではないらしい。「秋のMOOSIC LABを楽しみにしています」という人がこの街にも少しずつ、少しずつ増えている。嬉しい。3年続けた甲斐があった。これまで来てくれた多くのゲストのおかげでもある。ついに現れはじめた新潟のムーラボファンが楽しめ、かつ新しい世界に興味を持つ新潟県民からも興味を持ってもらえる、音楽と映画のぶつかり合いも見られる作品ってどんなのだろう。今のこの街にムーラボ開花前夜の空気を感じている映画館スタッフの僕は、完成度や音楽との関わりの新鮮さ以上に、インディペンデントならではの不思議な情熱が伝わる映画を良しとして各賞を選んだ。白状すると、NegiccoやNGT48で盛り上がっている周囲の現状も加味した。ともあれMOOSIC LABはじめ多くのインディペンデント映画独特の面白さを、これからも新潟の人々に伝え続けたいです。


■家田祐明(K's cinema)
◉グランプリ=劇場版 復讐のドミノマスク ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=劇場版 しろぜめっ! ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)、Vampillia(いいにおいのする映画)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=和田光沙(101回目のベッド・イン)、まお(せのしすたぁ)◉最優秀男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)◉男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)、ノイズ中村(劇場版 しろぜめっ!)
全8作品ありがとうございました。今年も予測不能で挑んだMOOSICでした。グランプリに輝いた「いいにおいのする映画」と「劇場版 復讐のドミノマスク」の二強争いの加熱は作品に触れると真っ当だと思いました。映画と音楽とプロレスというショーをプラスαし、武器を手に入れた「ドミノ」はMOOSICの新たな可能性を感じさせたが、化学反応はあったのか?毎年棚に上がる映画と音楽の融合による化学反応というもん自体は何処にあったんだろうとも思う。映画も音楽も並べられた中で物語に音楽が付いてくるならば、もう化学反応など期待しないで観るのが良いのかな?映像と音楽があれば、面白ければ、楽しませてくれたら、もう良いのかな?と、MOOSICの道から外れてしまう作品でも選ぶぞとなる訳ワカメな気分でもありました。でもコンペ8作品の中で「いいにおいのする映画」だけは、そのMOOSICの要素を吸い込んで昇華させてたのだと思った。好き嫌いは置いといてですが…。そんな中で「劇場版 しろぜめっ」の今までになかった切れ味には、映像と音楽の融合とも化学反応とも覚醒とも違う、作家と作家の個々の闘いが歪ながらも素敵だった。上映後の「何これ?ひでぇよな」との観客の声を耳にし、拒絶された「しろぜめっ」。酷評はされるだろう。それでも、短評でも触れたが、新しき映像と音楽の形を闘いで示し、劇中の流れる時間の中で鳴りやまぬ音楽と画がプレイしたことにつきた。面白い。来年のMOOSICはある意味で無茶苦茶になって映画も音楽も掻きまわしてほしい。破綻してもいいので。そんなもんが観たいです。


■山ア花奈美(MOOSIC LAB 札幌編主宰)
◉グランプリ=いいにおいのする映画 ◉準グランプリ=劇場版 復讐のドミノマスク ◉特別賞=劇場版 しろぜめっ!、101回目のベッド・イン ◉ベストミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)◉ミュージシャン賞=ベッド・イン(101回目のベッド・イン)、スガダイロートリオ(劇場版 しろぜめっ!)◉最優秀女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)◉女優賞=新谷真弓(ねもしすたぁ)、望月みゆ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉最優秀男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)◉男優賞=吉村界人(いいにおのする映画)、マチーデフ(ライブハウス レクイエム)
MOOSIC LABを観るときに心がけていることは、アーティストの予習をしないこと。映画で初めて出会うことによって、そのアーティストの魅力を発見できるというのもこの企画の面白いところです。今回のコンペでとりわけ良かったのは、『いいにおいのする映画』と『劇場版 復讐のドミノマスク』でした。ムーラボの枠外でもこの監督の作品を観たいという強い思いを抱きました。酒井監督作品は『神隠しのキャラメル』『棒付きキャンディー』を観ていたのですが、正直に言うとあまりにファンタジーすぎる世界観を受け入れることができず、今回の『いいにおいのする映画』を観るのにもとても勇気が入りました。しかし、本作は私の不安を一蹴するような素晴らしい出来で、これからの酒井監督の活躍がとても楽しみになりました。MOOSIC LABがこれから戦わなければならないことは、監督の自分探し的作品との決別だと思います。個人的には「セルフドキュメンタリー」が大好きなのですが、前回・今回のラインナップでもこれはアーティストとの映画なのか、監督のセルフドキュメンタリーなのかわからなくなる作品が多く(もちろんそれは悪いことではないのですが)そろそろ、そこから一歩踏み出してもいいのではないかなと思います。わたしにとっての良いインディーズ映画とは、革新的であり挑戦的であり、監督の個性が色濃く出た作品だと思っています。MOOSIC LABがこれからも素晴らしい音楽映画、インディーズ映画を発信していくことをこれからも楽しみにしています。

■九龍ジョー(ライター)
◉グランプリ=劇場版 復讐のドミノマスク ◉準グランプリ=いいにおいのする映画 ◉特別賞=劇場版 しろぜめっ!、101回目のベッド・イン、マイカット ◉ベストミュージシャン賞=細身のシャイボーイ(劇場版 復讐のドミノマスク)◉ミュージシャン賞=Vampillia(いいにおいのする映画)、ベッド・イン(101回目のベッド・イン)◉最優秀女優賞=まお(せのしすたぁ)◉女優賞=金子理江(いいにおいのする映画)、森下由美(ライブハウス レクイエム)◉最優秀男優賞=吉村界人(いいにおいのする映画)◉男優賞=福田洋(劇場版 復讐のドミノマスク)、マチーデフ(ライブハウス レクイエム)
※総評は後日追ってアップさせていただきます。
posted by staff at 23:07| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする